一本松の決闘

制作者:北村隆

慶長(けいちょう)二十年、大阪城落城。炎が舞い、血煙(ちけむり)が漂う中、生き延びた浅利(あさり)(まん)太郎(たろう)
かつては豊臣家の家臣であったが、城の陥落(かんらく)とともに家族と仲間を守るため、命からがら北へ北へと(のが)れた。
 逃れた先は青森の『(おき)(だて)(むら)』であった。この地は稲作(いなさく)に適していなかった。
萬太郎は村の者たちと話し合い、上流(じょうりゅう)の豊かな水源から水を引き込もうとする。しかし、上流には『安田(やすた)(むら)』があった。
 萬太郎は暗闇に紛れて(ひそ)かに水路を掘った。しかし、それに気づいた安田村の者たちとの(みず)(あらそ)いが始まる。安田村の若き庄屋、田村(たむら)(げん)兵衛(べい)と浅利萬太郎の対立が始まった。
 これが『一本松(いっぽんまつ)決闘(けっとう)』と言われる。
 互いの(いのち)(か)けた戦いであった。萬太郎は、この争いを終わらせる(さく)提案(ていあん)する。水を分け合い、水の管理(かんり)を両村で協力して行うというものであった。
 こうして水(あらそ)いは終わった。
 これは現在の青森市千富町に伝わる『万太郎(まんたろう)(せき)』の物語である。
 現在も万太郎堰の脇には一本松(いっぽんまつ)が存在する。

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